米国エネルギー自給自足国へ
シェールガスやシェールオイルなどの「非在来型エネルギー」の採掘技術が飛躍的に進歩した結果、数年後には米国が世界最大のエネルギー生産国になるという。IEA(国際エネルギー機関)が11月12日に発表した「世界エネルギー見通し」で、明らかにした。
これによると2015年までに天然ガスの生産量でロシアを、2017年までに石油生産量でサウジアラビアを抜く見通しだ。また、2020年までに天然ガスの純輸出国となり、2035年までには、ほとんどエネルギーを自給できるようになるという。
シェールオイルで、アメリカ経済向上
IEAのシナリオ通りに米国がエネルギー生産で世界トップに躍り出れば、米国経済は大きく向上すると期待されている。
米国のエネルギー自給率が上昇すれば、エネルギー輸入が減少し貿易赤字の改善につながる。さらに、石油エネルギーを中東に依存する必要がなくなるため、国防費が抑えられ財政赤字の改善も期待される。
エネルギー価格の低下に伴い関連コストも低くなるため、米企業による投資や生産が拡大し、雇用の増加も見込める。家計においても家計の負担が軽減されるため、米国のGDPの70%を占める個人消費も向上するはずだ。
米国経済の救世主的存在といえる非在来型エネルギーの登場で、世界のエネルギーマップは大きく書き換えられることになるだろう。
ただし、エネルギー生産の見通しは長期にわたるため、エネルギー価格の低下に耐えながら、増産を進めていかなくてはならないこと。さらに、環境汚染の防止のために採掘規制が強化される可能性もあるため、これらの問題に対処する必要もでてくる。
IEA(latest World Energy Outlook)
http://www.iea.org/newsroomandevents/