世界経済のパワーバランスが激変する
経済協力開発機構(OECD)は今月はじめ、「2060年までの長期経済見通し(Looking to 2060: Long-term growth)」報告書を発表した。OECDはその中で、現在躍進を遂げる新興国経済が今後50年で世界のGDPの大部分を占めるようになり、世界経済のパワーバランスが劇的に変化すると予測している。
同報告書は、OECDに加盟する34カ国および非加盟の主要経済8カ国を対象として、新しい長期経済見通しを提示している。その中で世界全体の経済成長は年率3%としながら、新興国の成長は今後も加速していき、反対に減速していく先進国との差は拡大すると予測している。
早ければ2016年にも中国が世界経済のトップに
さらに、現在世界経済の頂点に立つ米国は、早ければ2016年に中国に追い越され、いずれはインドにも追い越されるだろうとしている。また中国とインドのGDPの合計は、G7 全体のそれをまもなく追い越し、2060年にはOECD加盟国全体を追い越すだろうと見ている。
この経済パワーバランスの移行が、新興国の生活水準の向上につながり、2060年までに貧困国は所得が現時点から4倍以上に増加、さらに中国やインドでは7倍も増加すると予測している。こうして新興国と先進国間の経済格差は縮小するが、依然として格差が存在し続けるだろうと見ている。
OECD報告書(英語)
http://www.oecd.org/eco/economicoutlookanalysisandforecasts/