2011ウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞の女性起業家
旅行情報検索システムの開発・販売を手掛けるフォルシア株式会社。この会社の取締役社長兼CEO(最高経営責任者)屋代浩子さんは現役の3児の母です。屋代さんは日経ウーマンが選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011」で高い評価を受けました。
屋代さんは証券会社の先輩だった御主人と結婚し、夫婦で米国へMBA留学をしました。その地で起業への原動力を得ながらも帰国後はすぐには起業せず、バブル時代の経験から労働に勝る投資はない、と証券会社へ就職をします。
早朝から深夜まで働きながら2児の出産・育児を経験しますが、次女の病気など家族へのしわ寄せを感じ、夫婦で退職、起業を決意しました。
3人の子育てをしながら苦境からの飛躍
フォルシア株式会社が手掛ける「Spook」は「判断しながら探す」という人間の普遍的な行為を実践する検索プラットフォームです。「Spook」を利用する旅行情報検索システムは実に旅行会社の7割で採用されています。アイディアは金融会社時代の経験に基づくものでした。
ベンチャー企業として起業した当時は2001年。クライアントのニーズの先を行く開発を心がけた商品作りと攻めの営業は日本の大企業には通用せず、実績のないベンチャー会社とは仕事をしないと何社にも断られたそうです。
最初の3年は売上ゼロで、資本金も底を尽きかけていましたが屋代さんはけして諦めませんでした。何度門前払いを食らっても更に良いシステムを作って営業を続けました。評価されれば必ず実績やお金はついてくるという信念があったからこその行動です。
いちどANAや日本旅行といった大手が採用し始めると、他の旅行会社との採用契約も次々と決まりだしました。屋代さんの粘り強い営業努力の成果でした。
多忙な経営と家庭両立の秘訣
屋代さんはプライベートでは3児の母です。育児は主に彼女の担当です。育児と経営者の両立を可能にしたのは「夫婦での起業・経営」でした。
目先の利益を追い求めるのでなく、納得がいくビジネスを創造し、作り続ける素養を持つことが競合他社が多い中で生き残る原動力となっています。
起業を考える女性は自分の趣味を仕事に、と考えて御主人と経営だなんて頭の片隅にもないかもしれません。男性起業家の立場で考えてもまた然り、です。しかし、夫婦で起業・経営をするのは家庭円満のためのひとつの選択肢かもしれません。
フォルシア株式会社