ミャンマー、国際金融市場への復帰
パリクラブ(主要債権国会議)は、28日、ミャンマー政府との合意により、延滞債務103億3000万ドルの50%を免除することを発表した。ミャンマーは、17日にはアジア開発銀行(Asian Development Bank)に対する延滞債務5億1200万ドルを、25日には世界銀行(The World Bank) グループの一つである国際開発協会(IDA : The International Development Association)に対する4億3000万ドルについても、それぞれ免除を受けており、融資拡大への道が開けたことになる。
先進諸国と債務の再編で合意
パリクラブでは、25日、ウィン・シェイン財務・歳入大臣らミャンマー政府代表団と協議をおこない、ミャンマーが債権諸国に対して抱えていた延滞債務の合計である103億3000万ドルの50%を免除、残りの50%については15年間で返済、ただし7年間の猶予期間を含むことで合意した。また、ノルウェーは、自国に対するミャンマーの債務5億3400万ドル全額を放棄することを宣言した。パリクラブによると、ノルウェーによって放棄された債務金額を加えると、全体の60%が解消されることになる。
パリクラブにおける対ミャンマー債権国は、オーストリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ノルウェー、英国であるが、オブザーバーとしてオーストラリア、韓国、米国など先進諸国のほか、国際通貨基金(IMF : International Monetary Fund)、IDA、アジア開銀、国連貿易開発会議(UNCTAD : United Nations Conference on Trade and Development)も協議に参加した。
ミャンマー支援再開へ、貢献目指す日本
最大の債権国である日本は昨年4月、ミャンマー政府との会談において、約5000億円の延滞債務のうち3000億円を解消することを、他国に先駆けて表明している。さらに年明けの30日、財務省により追加の免除措置が発表され、債務の全額が解消された。
また、17日のアジア開銀、25日の世銀との延滞債務解消は、国際協力銀行のブリッジローン(短期のつなぎ融資)により実現したものである。延滞債務が解消したことで、ミャンマーは、アジア開銀、世銀から、ほぼ30年ぶりに新規プログラム・ローンの供与を受けることとなった。
円借款の再開としては、3月末までに500億円規模の円借款を実行する方針が、麻生太郎副総理・財務・金融相によって年明け3日に表明されている。
日本がリードする形で、ミャンマーの債務解消と融資の再開が進められたことについて、ウォール・ストリート・ジャーナルなど各紙は、「日本政府は、ミャンマー経済開発支援の再開で先陣を切ることを目指しており、数か月を費やしてミャンマー政府とアジア開銀、世銀に働きかけ、交渉の進展に肩入れした」、「ミャンマーのインフラ関連プロジェクトの権益獲得、東南アジアにおける影響力の拡大などをめぐる競争において、中国をけん制するためにも、ミャンマーとの友好関係を印象付けようとする戦略がある」といった分析を伝えている。一方、ボイス・オブ・アメリカは、「第二次世界大戦時にミャンマー独立の実現を支援したと考え、今でもミャンマーに強い感情を寄せる日本人は多い」、というオーストラリア、マッコーリー大学経済学助教授ショーン・ターネル氏のコメントも紹介している。
New Light of Myanmar *ミャンマー情報省発行
http://myanmar.com/newspaper/nlm/index.htmlパリクラブ
http://www.clubdeparis.org/