米国の赤字拡大が世界の成長エンジン
みずほ総合研究所が22日付で、「シェールガス革命は本当に世界を救うのか」のタイトルでレポートを発表している。常務執行役員でチーフエコノミストである同研究所の高田創氏はこの中で、米国に新たな繁栄の時代のをもたらすだろうとされている米国におけるシェールガス生産が、世界全体に及ぼす影響について言及している。
米国では1990年代からシェールガスが新エネルギーとして注目されてきたが、オバマ大統領の「グリーン政策」による支援を受けて生産量が急激に伸び、現在はガス需要の20%に達している。
同レポートは世界の国別経常収支の推移グラフを示し、過去30年以上にわたって、米国の赤字が世界に外需を供給することで、世界の成長エンジンになってきたことを指摘している。
米国の貿易収支は、2010年以降エネルギー輸入金額の縮小に伴って改善傾向を続けており、それに伴い世界需要の減少につながっている。
米国がエネルギーで中東に依存しなくなることで、世界秩序に変化が
シェールガス革命によって米国がエネルギー輸出国になれば、米国の経常収支赤字は一段と改善され、それは同時に外需がさらに縮小することを意味する。
また同レポートは、
(エネルギーでは主に中東に依存し、その利権と政治外交的な覇権によって世界の「警察官」として秩序を作り上げてきた)米国がエネルギー輸出国になることは、米国の中等への関心が薄れ、(中略)中東地域の「アラブの春」やシリア紛争のような不安定な環境が生じる可能性がある。
と、シェールガス革命が世界の均衡に与える影響や世界秩序の再構築の可能性などについても指摘している。
みずほ総合研究所 リサーチTODAY
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/